Cu roon


――――学校での休み時間のこと…

「奥村せんせーぇ」
勉強を教えていると兄さんがニヤニヤしながら言ってきた。
こっちは休み時間だけど特別に教えているのになんだそれ、と思い
「だまってください。」
と嫌味っぽく言ってやった。
すると今度はうぅーんと悩みながら
「…雪男せんせぇ?」
と言ってきた。
「はい。なんですか。」
真面目に勉強を受けてくれよと思い、イラつきを抑えながら答えた。
さっきよりもさらに悩みながら
「雪男君?」
と言ってきた。
本当にイラついたので教科書を読み上げ、勉強を再開した。
兄さんは嫌そうな顔をしたが教科書に目を移した。
五分ぐらいやったところで兄さんが
「もう無理ーーー」
と落書きし始めた。
「そうだね。もう終わりにしよう」
としょうがなく言った。
よっしゃとガッツポーズしながら、走って志摩と勝呂がいるほうに走って行った。
僕はさらにイラついて職員室へ走った。

休み時間残り十分に差し掛かったころ、僕は授業の準備が終わりゆっくりコーヒーを飲んでいた。
廊下から
「大丈夫やて。まだ次の手がある」
という勝呂の声が聞こえた。
コーヒーを飲みゆったりしていた僕の気持ちは、途端に怒りに変わった。
「なんで兄さん、あいつらのところに走っていくんだ…」
ガチャン、と大きな音を立ててカップを置くと、兄さんの弱弱しい声がため息と共に聞こえてきた。
「本当に大丈夫かよー…雪男怒ってたぞー…」
「ハハッ。大丈夫やて。」
志摩の声だ。僕はさらにイラついて廊下へ向かった。
「好きだから襲って欲しいなんて言えるわけないだろ…」
小さな声で恥ずかしそうに呟く兄さんの声を聞いて
僕の足は止まった。よく辻褄が合わないけれど

――――そういうことなら許してあげようかな。

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